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前垣氏庭園(寿延庭)

まえがきしていえん(じゅえんてい)

概要

前垣氏庭園(寿延庭)

まえがきしていえん(じゅえんてい)

庭園 / 昭和以降 / 中国・四国 / 広島県

広島県

昭和

広島県東広島市

登録年月日:20160301
管理団体名:

登録記念物

前垣氏庭園は,広島県東広島市で酒造業を営む前垣氏の邸宅に造られた枯山水庭園であり,庭園研究者で作庭家でもあった重森(しげもり)三(み)玲(れい)が設計を行った。作庭にあたって重森は昭和30年(1955)12月に前垣氏宅に滞在し,自ら指示をした。
庭園は本庭,前庭,中庭の3つの部分から成る。邸宅の座敷に面する本庭は,白砂敷で水面が表現され,左右からの細長い出島を主とする陸地部分には苔がはられている。水面と陸地部分が接する汀線は入り組み,砂の白さと苔の深い緑色が対照を成す。また,建物の縁先には洲浜になぞらえた敷石が並べられ,その水際はうねるような曲線を描く。正面中央に大ぶりな景石を据え,随所に立石と伏石を配置する。前庭は表門と玄関の間に造られ,3つの苔地の築山,直打ちの飛石を配し,その他の部分は白砂敷にしている。中庭は周囲を囲まれた坪庭で,3つの景石と飛石,沓脱石を配し,それ以外の部分に白砂を敷く。
3つの庭園は位置的に独立し,それぞれの意匠も異なるが,立石を中心に白砂,苔等の材料を用いて造られた空間は,多くの枯山水庭園を残した重森の作風がよく表れている。造園当初の姿を今日までよく伝えており,造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。

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